トランプ17:傍若無人 (1)

トランプ16:共和党の反乱者達 の続きです。
トランプ関係のニュースはあまりにも展開が早すぎて書ききれません。
4月のミューラー報告の後の出来事を順に追って書いてゆきます。

司法長官ウィリアム・バーの会見(4/18/2019)

Bill Barr pressed about findings in Mueller report

金曜日の夜遅くにミューラーから報告書を受け取ったウィリアム・バーが翌週月曜日に会見を行って報告書の内容について発表しました。400ページもある長い報告書を週末の2日間で読んでしまったのかと感心していたのですが。実情は全く読んでなかったらしい。内容について突っ込んだ質問されても答えることができませんでした。

彼がこの会見をしたのはトランプに都合の良いように世論を誘導するためです。ミューラーが報告書の中で「無罪とは言い切れない。理由はこれらの事例がたくさんある」と書いているのを「有罪となる証拠は見つからなかった」と言い換えています。

これについては規則にのっとり保守的過ぎる報告をしたミューラー結論を述べないのならそれはボスである自分に結論をいう権限がある。ミューラーレポートはボスである自分のベイビー「It’s my baby」であると言い張りました。

ウィリアム・バーはアメリカの司法長官であるという立場よりトランプのお抱え弁護士の役割をしています。法律を学んだ司法業界の人間でありながら自分の評判を落としてまでトランプのお抱え弁護士を進んでしている彼は一体裏でどんな取引をしているのか気になります。

インタビュー:外国の助けを受ける (6/17/2019)

President Trump: 30 Hours l Interview with George Stephanopoulos l Part 3

ABC ニュースのインタビューを受けた時に問題発言をして大ニュースになりました。これは30時間密着取材のインタビューだったのです。このインタビューの中で彼はABCのジョージ・ステファノポリスからもし外国から政敵に対する情報が提供されたらどうするかと質問されました。FBIに届けるかそれとも情報を聞くかと質問されたのです。するとトランプは「もしその政敵の情報が自分にとって有益な情報なら拒否する理由がない」と答えました。これは違法です。

The federal bribery statute says someone has committed bribery if he or she is a “public official” who “directly or indirectly, corruptly demands, seeks, receives, accepts, or agrees to receive or accept anything of value personally … in return for … being influenced in the performance of any official act.”
政府で働いている人が外国から直接、間接、賄賂の要求、受け取り、その他価値のあるものを受け取る同意を何かと引き換えにすることは収賄罪となる。

過去にアル・ゴアが選挙期間中に選挙運動をしていた選挙役員が外国の情報を受け取りFBIへ届けたのですが、中身をチョイ見したため選挙運動から一時身を引きました。それぐらい外国からの情報を受け取るのは政治家として危険な行為なのです。外国からの情報=金銭を伴わない賄賂でもあります。また意図的な偽情報の罠にはまる危険性もあります。

大統領にはいろんな背景を持った外国の情報機関が嘘や捏造した情報を提供することがあります。それを受け取ることは危険な行動なのです。米国の大統領としては外国の諜報機関の情報より自国のFBIやCIAの情報の方を優先するのが当然なのです。しかしトランプはFBIを敵視しています。FBIよりプーチンの情報の方を信用しているのだそうです。

独立記念日に軍事パレード (7/4/2019)

Tanks Arrive In D.C. For President Donald Trump’s Fourth Of July Celebration

トランプはアメリカの独立記念日に今までになかった軍事パレードを追加する。独裁者が良くする方法で自分の権威を内外に見せつける手法。北朝鮮の金正恩に触発されたもの?彼は独裁者である金正恩やプーチンが大好きである。

念のために記すとトランプは父親の借家に住む医者に頼み偽診断書を提出し兵役回避をしています。祖父はドイツの兵役を逃れアメリカに移住。その後ドイツに帰国しようとしたが兵役回避の過去があったためドイツに帰ることができなかったらしい。父親も兵役についたことは無い。

4人の女性民主党議員達、帰れコール(7月)

トランプの支持層はアメリカ中部の田舎の白人層です。アメリカの人種分布は東南部では昔から黒人が多いのですが、アメリカに昔からいる白人黒人以外の新しい移民の人達は都市部に多く住んでいます。多人種の国と言われていますが新規移民の人達はやはり都市部の方が住みやすいため都市部に集中しているのです。そして都市部は民主党の基盤になっています。

アメリカに昔からいる白人層はアメリカの中部の田舎で昔からの生活を続けています。それらの白人の多く住む地域は共和党が政治的基盤にしています。トランプは共和党の大統領ですから田舎の保守的な白人層が支持しているいのです。

Small but united: Understanding the four-congresswomen ‘squad’

トランプは自分の支持層にアピールするためか民主党の4人の新人下院議員たちを「自分の国に帰れ」と猛烈な攻撃を開始しました。人のうちの3人はアメリカ生まれの生まれながらのアメリカ市民です。彼らの両親はソマリア、プエルトリコ、パレスチナからの移民。そして最後の一人はアメリカに奴隷として連れてこられたアフリカ系です。彼女の祖先はアメリカに長い間住んでいます。しかしトランプは彼らに自分の国へ帰れと猛攻撃をしました。

ちなみにトランプの二人の妻達は東欧からの移民です。トランプの子供たちは皆移民二世。トランプ自身は祖父の代にドイツとアイルランドから来た移民です。

エルパソ襲撃事件、迷惑訪問 (8月3日)

トランプは中部の白人支持者達に移民排斥のメッセージを常に送っている。そのため何百万人もいる支持者の中には熱狂的な人達もいてトランプのメッセージを暴力的な形で実行しようとする人達も出てくる。

8月3日にテキサス州のエルパソで乱射事件を起こし20数人を殺害する事件が起きた。トランプがエルパソを違法移民がいる場所だと常に言っていたため20歳台の白人男性がテキサス州北部の町からわざわざ100マイル以上もドライブしてきて乱射事件を起こした。

実はトランプ支持者の武器襲撃未遂事件も2月頃に起きている。彼がターゲットにしていたのはトランプが常日頃スピーチで敵視していたジャーナリストや政治家達だった。

Neo-Nazi in coast guard plotted attack on Democrats and journalists, say prosecutors

https://www.theguardian.com/us-news/2019/feb/20/neo-nazi-plotted-attack-on-democrats-journalists

トランプはエルパソの住民が来てほしくないというのにも関わらずエルパソを訪問。犠牲者へのお悔やみの言葉を言う代わりに集まった支持者の数を水増ししてほらを吹く。その時両親が犠牲になった生後2か月の赤ちゃんをトランプ支持者の伯父がトランプに渡しトロフィーのように記念撮影。(赤ちゃんが物心ついたらどう思うだろうかと考えてしまった。)

Trump’s El Paso Photo Is Obscene

https://www.theatlantic.com/ideas/archive/2019/08/trumps-el-paso-photo-is-obscene/595888/

医療目的で米国滞在の子供たちを追放(8月)

The Trump Administration Now Wants to Deport Children With Cancer

https://www.rollingstone.com/politics/politics-news/trump-administration-deportation-children-medical-care-878160/

ボストンにはアメリカで一番と言われる小児病院があります。特殊な病気を抱えた子供たちが世界中から来てこの病院で治療を受けています。特殊な病気の治療方法もこの病院で研究されており大きな成果を上げています。この病院で長期間治療を受けている外国籍の子供たちは自国での治療方法が無いためこの病院で治療を受けています。そのため特殊なビザを取得しています。

7月の終り頃からこの病院で治療を受け続けている外国籍の子供たちの元へ33日以内にアメリカから出国するようにと移民局 U.S. Citizenship and Immigration Services (USCIS)から手紙が来始めました。医療目的の特殊ビザを廃止することにしたのだそうです。このことについての公式の発表は何もなされてはいませんでした。患者の元へ個別に手紙が来たのです。

もし米国を出なければならないのならこの子供たちは治療方法がなく死が待っているだけなのです。患者たちの保護のため人権・弁護士団体が動き始めましたがトランプ政権の発表は言い逃れだけで病気を持つ人達への配慮は何もありませんでした。現在闘争中です。

続く:トランプ18:傍若無人 (2) 

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