CA:SLO3 ハースト・キャッスル

これは5月にハースト城に行った時の記録です。

ハースト城

ハーストキャッスルとは1920年代に当時の新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハースト (William Randolph Hearst) によって建てられたヨーロッパのお城風の個人邸宅です。お城の中にはヨーロッパで集められた歴史的芸術品が多数展示されています。彼がこの城を建て始めたのは50歳代の後半でした。その後この城にハリウッドの有名俳優達を招待して毎日のようにパーティをして死ぬまで精力的にパーティ人生を楽しく過ごしました。

その後1970年代にお城と美術品の維持費に困った彼の子孫たちがこのお城をカリフォルニア州に寄付しました。今はカリフォルニア州の公園の一つになっています。

入り口、チケット売り場

これがフリーウェイ101の脇にあるハースト城の入り口のサインです。

上記の入り口からここの駐車場までは車で三分ぐらい。

車を停めた後は、建物に入ってゆきます。案内所でガイド付きツアーの選択をして切符を買います。1時間コースツアーが何種類かあります。値段はどれも25ドルでした。一日に二つ以上のツアーに参加することもできます。

ツアーの種類ですが、一階部分コース。二階の私室部分コース。夜のコース等です。私は初めてでしたので初めての人には一番のお薦めだというの一階部分周遊コースを選びました。

ハワード城に行くまでの待機場所です。レストランやお土産屋さんがあります。

バスでお城まで行く

ハーストキャッスルがあるのは高い山の頂上です。そのためこちらの入り口部分からバスで頂上まで登ってゆきます。頂上に着くまでの時間は10数分。

山の中腹部分は牧場になっています。ハースト家所有の牧場です。お城部分はカリフォルニア州のものになっていますが、牧場部分はハースト家が現在も経営しています。

この土地は元々はウィリアム・ランドルフ・ハーストの父親がカリフォルニアの鉱山発見・採掘で得た巨額の資金で購入したものです。一人息子の彼はそれを全て相続、さらに自分自身では新聞企業体を興し大成功をしました。二代にわたってやり手の親子だったようです。

ハーストキャッスルの下にバスが付きました。見上げるといかにもお城のようです。

バスはツアー時間毎の客に分けられており、ツアー客が到着するとそれぞれのツアーに着くガイドが挨拶をして案内を開始します。ツアーチケットを購入せずにぶらりと見学をするということは基本的にできません。必ずどれかのツアーに入らなければなりません。

見晴らしの良い高台にあるお城

この人が私たちの時間帯のグループの案内ガイドです。

お城は山の上に建設されており、見晴らしが素晴らしく良いです。

ヨーロッパ風のテラスです。

テラスの床部分のタイル模様が素敵です。

南欧風

お城は全体的に南欧風です。

カリフォルニア州自体が地中海性気候です。
建物の様式がカリフォルニアの青い空にぴったりと似あっています。

設計したのはジュリアモーガン(Julia Morgan)という当時でも珍しい女性建築家。彼女は既にたくさんの建築を手がけておりハーストから城の設計を依頼された当時でも建築家としての名声がありました。その建築家の彼女はハーストと相談しながら彼のアイデアと希望を取り入れて設計したのです。

建築資材は当然良いものを使っていますが、ヨーロッパのお城と違い素材の大部分はコンクリートなど現代風の建築素材です。

まだ未完成の野外ネプチューン・プール

こちらはいまだに完成をしていないプールです。作って水をためたことはあるのですが水漏れがわかりやり直しをしておりまだ未完成なのだそうです。

説明では「嬉しいことにこのプールのマーブル素材を提供する会社はまだ存続しています」と言っていました。逆に考えればハーストキャッスルから注文が来続けるから営業が続いているのではないかと思ったりもしました。

プールを囲っているのはギリシャ神話の神殿風。いかにも地中海的です。ネットをググれば水が満杯状態のプールの写真も出てきます。青い空が水に反射してとても綺麗です。

お城の外観

広い敷地です。白い外観と青い空がとてもよく似合っています。

こうやって見上げるといかにもお城です。

この正面の壮大な壁面彫刻はヨーロッパのどこかから持ってきたのでしょうか。基本的にこのお城に使われている芸術的な建築素材はヨーロッパで購入してこの場所に持ってきたものです。アンチックのオークションなどを利用して集めたもののようです。

お城の内部

一階部分のメインホールです。天井の木の彫刻が素晴らしいです。

壁面には古いタペストリーが掲げられています。古いため色が褪せています。

作られた当時はきっと色が鮮明だったのだと思います。しかし染色が太陽光によって変色をするというのはタペストリー芸術の限界ですね。またハーストが購入した頃も保存ということの考慮はあまりなされていませんでした。当時は煙草文化が盛んでしたのでこのタペストリーの周りでも喫煙が行われておりタペストリーが汚れるような生活環境だったようです。

大食堂の壁に掲げられた中世のタペストリー

この食堂ではこのように食器をセットしてお上品な食事したそうです。しかし目の前にある市販品のケチャップとマスタードが気になります。実はハーストはこれらの普通の市販品のケチャップとマスタードが大好きでお上品な食事のテーブルでも必ず置かれていたのだとか。。。

長いテーブルの端の方。ツアー客たちが説明を聞きながら眺めています。

その食堂の天井部分。

上記の壁面はヨーロッパのどこかの古い教会から解体して持ってきたような雰囲気です。ヨーロッパも近代化の変貌過程で古くからあった教会等取り壊し、近代的なビルを建てたと思います。その過程でオークションに出てきたものもたくさんあったのではないでしょうか。

古い椅子とテーブル。

映画館

最後に連れて行かれたのはお城の中にある映画館でした。約7-8分程の映画でハーストがパーティと楽しんだ当時の記録映画を上映しました。大金持ちだったので当然個人でも動画を記録しており、それらを集めて編集したものです。

当時の映画界の有名人たちがたくさんここにきてお城の滞在、パーティを楽しんだのだそうです。チャーリー・チャップリン等当時の有名俳優も出ていました。その交通費、食事等全てハーストが出しました。ゲストは完全無料のご招待滞在です。

金持ち人世謳歌で良いですね。そこまで大盤振る舞いをして楽しむ人生もなかなか。しかしそれができたのも彼が精力的な体力があり、かつ人との交友を楽しむことができる性格だったからだと思います。

中庭

上記の映画館で私たちのツアーは一応終わりました。その後ツアーチケットを買った人達は自由に中庭を散策することができます。腕にチケットを買ったことを証明するバンドを付けていまのでガイドの説明を受けながら回った部分を再度見て回ることもできます。

お庭のお花です。綺麗に手入れされています。

このお城は現在でもハースト家の人達が一族の結婚式等の会場として利用しているようです。興味を引かれたのでいつ頃来るのか、その時はお城は一般人の見学を中止するのかと聞きました。すると普通ハースト家の利用はツアー客の来園前や一般人ツアーが終わった後に行われるのだと言っていました。このお城に宿泊することは無いようです。

さらにハースト家の次世代の有名人パット・ハーストはどうしているのかと聞きました。すると彼女は今も健在で、このお城にもよく来るそうです。

お城の中庭で見かけたギリシア風彫刻。オリジナルなのか複製なのかわかりません。

燦々と降り注ぐ太陽と穏やかなよく手入れをされた庭。

この素敵な建物中のソファベッドで窓の外の風景を見ながら昼寝をしたいです。

ハースト家がこの城と美術品の維持管理費に困ってカリフォルニア州に寄付したということを書きましたが、現在の損益についてもう少し突っ込んで近くにいた案内の人に聞きました。赤字は解消できたか、経営状態はどうなのかということについてです。

その人の話によると観光客から得る25ドルの入場料はここで働いている人達の人件費に当てられ収益はほぼトントンの状態。美術品の保存費用はハースト家のOOさんが美術保存基金を設立して寄付を募集しているのだそうです。その基金の資金で美術品の管理はなされています。

詳しく聞けばよかったのですが、見たところガイドやその他の人達で100人以上の人達が働いているように見受けられます。その人達は当然この近くの住人です。ここで働いている人達への給料が出るということはこの城を中心として一つの産業が成り立っているわけです。このお城があることで観光客も増え近隣の町もいくらか潤っているというならそれは素晴らしいことだと思います。カリフォルニア州の税収の増加にもなります。

テニスコート

ツアーが終わったあと帰りのバス停車場に行くまでの間は自分で自由に見て回るコースがあります。その一つがテニスコートです。見たところこのテニスコートは緑が少なくて日の照り返しがきつそうだなと思いました。

その一角に置いてあったのがこの目が回りそうなテーブルと椅子。1920年代と言えばアールヌーボー全盛時です。これはその当時に作られたものなのでしょうか?興味があります。

バス停車場に行く道すがらもう一つの見どころへ向かいます。

テニスコートの横の道を歩いて下ってゆくとその真下が室内プールになっていました。そこでわかったのはテニスコートは室内プールの屋上部分を利用して作られているのです。だから緑が少なかったのです。合理的な設計と言えば言えます。

豪華絢爛な室内プール

テニスコートの下の室内プールは青と金色を基調とした豪華絢爛なものでした。
プールの周りにはギリシャ神話の神々の像が置かれています。

プールの水が入っている床部分は実は真四角なのだそうです。しかし天井部分の形が水に反射して映り幻想的な奥行きを醸し出しています。

この床や天井部分に張られた金色は24金のモザイクタイルを張り付けたものです。

豪華絢爛な王族並みの暮らしです。

バスで下界へ、下から見上げる

このプールの真横に帰りのバスが待機していました。かなり頻繁に出ているようです。

10数分程のドライブの後下の案内所に降りてきました。

ここは案内書の一角からハーストキャッスルを望む場所です。

遠くの山の上にハーストっキャッスルが見えます。

映画を見る

案内所にはレストランやお土産屋があるのですが、その一部に映画館もあります。そこではこの城と新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストの生涯について描かれたドキュメンタリー映画が繰り返し上映されていました。約50分の映画です。

私はある程度ネットで調べてきたのですが、城に行く前にこの映画を先に見た方がこの城と背景の理解が深まりツアー見学ももっと面白いものになるのではないかと思います。

お土産コーナー

案内所の一角にはお土産屋さんもあります。そこに並んでいる商品はよく見るとハースト系列の製品がたくさんあります。

ハースト家所有のワイナリーで生産したワイン。下はハースト牧場の牛肉。ハースト家が経営している牧場やワイナリーの商品が並んでいます。

ハースト城の所有権はカリフォルニア州に移りましたがお土産屋に置くワインや牛肉を卸す独占的な権利はハースト家系統のビジネスが持っているようです。寄付の交換条件として優遇されているのだと思います。

というわけでハースト城の見学が終わりました。この頃は既に1時頃になっていました。次に行くのはこの近くに生息する野生のアザラシ見学です。

続く:CA_SLO 04 野生のゾウアザラシ

関連記事:人物08: ハースト家の人々

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