トランプ疑惑13:M.コーエンの証言 の続きです。
目次
自己アピールのチャンス
マイケル・コーエンの証言は全米で注目されており平日にも関わらず中継を見た人達はたくさんいました。夜のまとめ番組で見た人達も入れればアメリカ人の大半が見たのではないかと思います。これは質問する議員に取っては大きな自己アピールのチャンスです。自分の有能さを見てもらえるのです。
夜のまとめ番組などで印象にのこる有能な質問は繰り返し報道されました。そして無能な結果に終わった議員の人達の映像も繰り返し報道されたのです。有能で報道されるのは良いのですが、無能さを繰り返し報道されるのはダメージが大きい。
有能な質問をして大きく報道された二人を紹介します。
アレキサンドリア・オカシオ-コーテス (AOC)
ニューヨーク選出の民主党議員で29歳。2018年11月の中間選挙で史上最年少で下院議員に当選しました。 彼女はプエルトリコ系=黒人系なため黒人層の期待も大きく、かつ若い女性であることとインスタグラムなどのメディアを使い自己アピールが上手なため当選以来非常に注目されています。議員になる前はバーテンダーなどの仕事もしていたようです。
若手議員で注目されていたことを差し引いても彼女の質問は実に簡潔で要点をついたため何度も報道されました。
AOCの質疑内容
AOC 質問: 私の同僚があなたに質問した時にあなたは大統領が American Media Inc. (AMI) の二人の女性への支払い、捕まえて殺す (Catch and Kill) をしたことについて証拠書類が残っているかどうかを非常に懸念していると言いましたが、関連した書類は今でもどこかに存在していますか?
MDC 応答 : それが今どこにあるかは知りません。知っている人としたらデビッド・ペッカー、ベリール・ディーン、ディレン・ハワードです。
AOC 質問: 次に資産の過大評価について質問します。大統領は過大評価した資産額を保険会社に提示しましたか?
MDC 応答: はい。
AOC 質問: このことについて他に知っている人はいますか?
MDC 応答: アレン・ワイゼンバーグ、ロン・リバーマン、マシュー・カラマリ。
AOC 質問: もしこれらの財務諸表と税金申告書をみて両方を見比べたいとしたらどこに行けばそれらの書類を手に入れることができますか?
MDC 応答: トランプの会社に行けばあります。
AOC 質問: 最後にトランプのゴルフ場について質問します。トランプは私の選挙区のブロンクスにゴルフコースを持っています。私は毎日車を運転してその横を通っていブロンクスからクイーンに通っていました。
ここにワシントンポストがそのゴルフ場について書いた記事があります。記事の題名は「納税者が作りトランプが手に入れたゴルフ場」です。
このゴルフ場は納税者が127ミリオンドルを使い建てたものです。しかしこれはこの記事によるとほぼ全てトランプのものになりました。
2016年8月21日にワシントンポストの記事によると、大統領が財産公開書に書いた記録によればフロリダのジュピターにあるゴルフ場は50ミリオンドルでした。しかしその地域へ報告した納税書にはわずか5ミリオンドルとしか記載されていませんでした。この報道について正確だと思いますか?
MDC 応答: 別のゴルフ場でしていることと全く同じだと思います。
AOC 質問: あなたは彼が税金額をを低くするためにこうしてるのだと思いますか?
MDC 応答: はい。
AOC 質問: どういうやり方でそれをするのですか?
MDC 応答: 資産の額を低く書いて、税務署に税金を低くするように交渉するのです。
AOC 質問: 2018年10月のニューヨークタイムズの記事にはトランプは1990年代に不審なやり方で親から莫大な遺産を受け継ぎ、また財産の評価額を低く報告して税金逃れをした書かれています。あなたはこのことは真実だと思いますか?
MDC 応答: そのことについては知りません。私は1990年代にはトランプの元で働いていませんでした。
AOC 質問: このことについて知っているのは誰だと思いますか?
MDC 応答: アレン・ワイゼンバーグ(トランプの会計担当者)
CNNの特集
CNNはアレキサンドリア・オカシオ-コーテスの質問に関連したゴルフ場の特集番組を作っています。ゴルフ場の映像もあります。
トランプは全米で12のゴルフ場を持っています。 (2:38) 多分そのうちの一つで安倍首相もゴルフをしたのだと思います。
ロー・カーナ(マイク・ホンダを破った人)
ロー・カーナ (Ro Khanna) の質問はいろんなニュース番組で何度も流されました。確かにまるで弁護士か検察官のような鋭い話し方をします。外見と名前から多分インド系だなと感じました。
調べてみると彼は確かに弁護士出身です。エール大学卒業、両親がインドから来た移民です。そしてなんと彼が2016年の選挙で例のマイク・ホンダを破って当選した人だったのです。「ふ~ん。日系も中国系もあの地域では弱くなったのかな」と思ったのですが、よく考えるとあの選挙区はサン・ホセです。シリコンバレーなのです。シリコンバレーにはインド系のIT系技術者が多数住んでいます。多分人数的には白人人口に比べてはインド系ははるかに少ないとは思います。しかし優秀な人達が多く集まれば影響力も増します。多分今ではサンホセ地域では日系や中国系よりインド系の影響力の方が大きくなったのだと思います。感慨深いですね。
ここで話題になっている小切手はトランプ大統領がコーエンに払った金です。この女性達への浮気もみ消し金を大統領が直接支払ったことが表ざたになると問題になるのでトランプの依頼でマイケル・コーエンが彼の個人口座から二人の女性にお金を支払いました。そのお金をトランプが分割して彼に払い戻したお金です。コーエンは彼の個人口座からお金を支払うために家を抵当に50万ドル銀行から借りました。その借入をする時に自分が持っている借金をローン申し込み書類に記載しなかったことも彼が嘘をついたとして有罪になった理由の一つです。
ロー・カーナの質疑
RK 質問: コーエンさん、私はあなたが持ってきた証拠書類について質問します。これらの書類は犯罪と金融詐欺の動かぬ証拠となります。あなたが提示した35000ドルの小切手は大統領が自分のトラスト口座から出したものです。しかも日付は2017年3月17日付けです。彼が大統領になった後に書かれたものです。こちらのスクリーンにでています。見えますか?
MDC 応答: はい。
RK 質問: このトラスト口座は彼が大統領になった後自分の財産を管理するために作ったものですね。
MDC 応答: そうだったと思います。
RK 質問: あなたはなぜ彼の個人口座ではなくこのトラスト口座から支払われたと思いますか?
MDC 応答: それについてはわかりません。
RK 質問: あなたは個人口座でなくトラスト口座から支払われたことを疑問に思いませんでしたか?
MDC 応答: 正直をいうと小切手が手に入ったことが嬉しかっただけです。
RK 質問: 本日あなたは小切手はドナルド・トランプ・Jr とトランプの会社の会計担当エレン・ワイゼンバーグが署名していると言いました。そうですね。
MDC 応答: そうです。
RK 質問: あなたの起訴書類によるとあなたは毎月請求書に嘘の情報を書き「重役A」に送りました。この「重役A」とはアイゼンバーグですね。
MDC 応答: そうです。
RK 質問: あなたの起訴書類によると「重役A」はあなたの請求書を受け取った後「重役B」に送ったとなっています。この「重役B」ドナルド・トランプ Jr. で彼が小切手に署名することになっていたのですね。
MDC 応答: そうだと思っています。
RK 質問: 連邦検察局によるとこれらの取引はトランプの会社の会計上多くの嘘が記載されているということです。これは陰謀でもなく様々な金融詐欺ではないですか。これは表面上あなたへの弁護士費用となっていますが金融詐欺です。弁護士費用ではないですよね。コーエンさん。
MDC 応答: はい。違います。
RK 質問: これは深刻な連邦と州の犯罪になります。会計帳簿を書き換えることは深刻な犯罪なのです。あなたの証言によればドナルド・トランプ Jr. とアレン・ワイゼンバーグがこの支払を承認したと言うのですね。
MDC 応答: ドナルド・トランプが最初にこの支払について認め、アラン・アイゼンバーグが12回の分割払いにすることにしました。彼は私に請求書を書くように言いました。そして小切手を書くことにしたのです。あなたの質問の答えはイエスです。
RK 質問: そして明らかに ドナルド・トランプ Jr. が小切手に署名をしている。
MDC 応答: 小切手に署名するのはエリック・トランプ、ドナルド・トランプ Jr. 、そして大概はアラン・アイゼンバーグでした。
RK 質問: 彼らはこの支払いが嘘であり違法であるのを知っていたのですね。
MDC 応答: 私はそのことについて断定ができません。
RK 質問: あなたはこのことについて大統領は知っていたと言うのですね。
MDC 応答: そうです。
RK 質問: 私はアメリカ全体に言いたい。コーエンさん、あなたはこう言っているのですね。大統領がこの取引を指示し、アラン・アイゼンバーグとドナルド・トランプJr. が共謀してこの金融詐欺を働いたと言うのですね。それがあなたの今日の証言ですね。
MDC 応答: そうです。
RK 質問: 大統領とアラン・アイゼンバーグとドナルド・トランプJr. が共謀して働いたこの金融犯罪をニューヨーク南検察局が調べているというのですね。
MDC 応答: そのことについての返事は控えさせてください。もしかしたらその件は別の捜査にかかわっているかもしれませんので。
RK 質問: ミューラー検察官の調査の他にも様々な金融犯罪がこの事件に関係していることをアメリカ全体に分かってもらいたいと思います。
感想
ロー・カーナはトランプとトランプの息子も同罪だと導いています。途中で動画は途切れているのですがこの後確か彼は「他の人達も共謀していたのにマイケル・コーエンだけが有罪になっていると」と述べていました。しかし今の所です。これからも捜査はどんどん展開してゆきます。まるでサスペンスドラマのようです。
ロー・カーナの発言が多少大げさに思えるのはニューヨーク南検察局はウォールストリートの巨大金融犯罪には喜んで飛び込んでゆくのだそうです。しかし普通は小さな犯罪は気にかけていないようなこともどこかで見ました。彼らは大物を狙っているのです。しかしこれが大統領の犯罪なら俄然やる気が出ます。もしトランプが大統領に当選していなかったらこの程度は歯牙にもかけなかったかもしれません。
ロー・カーナはこの公聴会で一躍注目を浴びました。そして公聴会後の数日間でメディアのニュース番組に呼ばれる回数が増えたように見えます。
おバカな間違い集
主に共和党議員達に多かったのですがおバカないくつか報道されています。各議員の持ち時間は5分間です。時間切れ、悪口罵詈雑言、トランプを援護できなくて、コーエンの悪口ばかりでした。こちらのトークショーでそんな特集があります。
議員でありながらコーエンを今まで知らなかったという人もいます。(12:45) ニュースを今まで全く見ていなかったのでしょうか。
英語を勉強 (Yield Back)
上のSeth Meyer のトークショー動画の 2:33 のところで議員が先に発言終了 (yield back) その後の発言ができなくなりました。議長がもうあなたは発言終了したと言ったのでもう終わったと注意しています。口癖になっていて思わず口から出てしまったのでしょうかね。
この yield back というのが最初わかりませんでした。調べてみると議会用語のようです。議員の割り当てられた発言時間が決まっている議会の時。自分の発言が早めに終わったら自分の指定した議員に残りの持ち時間をやることもできるようです。その時に yield back と言うのだそうです。へぇ~。そうなんだ。
そしていったん時間を他の議員に譲ったら取り返しすことができないのだそうです。 yield back, no take back だそうです。
続く