DNA検査17:白人チェロキー03

DNA検査16:白人チェロキー02 の続きです。

白人の先住民祖先伝説

なぜアメリカの白人は先住民の祖先がいるということが大好きなのか。

この記事の著者は小さい頃から自分の先祖はチェロキーだと信じて育ちました。「祖父の高い頬骨」がその事実を証明する充分な証拠であると信じ何の疑いも持たずに育ちました。自分がチェロキーであるというのはロマンチックでとても好きな伝説でした。

しかし Vine Deloria Jr. が書いた「Custer Died For Your Sins; An Indian Manifesto」(1969年)という本を読んでその考えを止めました。自分が信じて来たのはただの妄想であったのだということに気が付いたのです。

しかし中にはそれに気が付かずずっと信じ続けている人達もいます。エリザベス・ワレンもその一人です。「チェロキー症候群」と呼ぶ人もいるぐらいで2010年の人口調査では80万人以上の人達がチェロキーだと自称しています。

公的補助悪用例1:先住民伝説を悪用

アメリカ先住民であるということは数々の公的補助を利用できます。それを悪用する人もいます。

上記の記事でも紹介されていますが2018年10月のカリフォルニア州の共和党下院議員ケヴィン・マッカーシーの家族と親戚が先住民と身分を偽り政府の仕事を落札。7百万ドル以上の売り上げを上げていたことが判明しました。

(2018年10月というのは民主党のエリザベス・ワレンのニュースと同じタイミングです。もしかしたらロサンゼルスタイムスが報道したのは民主党のスキャンダルに対抗して共和党の議員の関係者も同じことをしていると言いたかったのかもしれません。しかしロサンゼルスタイムスはかなり長期間この問題を調べていたようです。)

House Majority Leader Kevin McCarthy’s family benefited from U.S. program for minorities based on disputed ancestry

記事の内容:共和党議員ケヴィン・マッカーシーの妻の家族が経営する建設会社が政府が設けている社会的に不利益を受けている人達のために設けたビジネスの枠を利用して7.6ミリオンの契約を受注。

代表である妻の兄弟(ウィリアム・ウェイジス)は1998年にアメリカ先住民としてSBC(中小企業)登録。彼の会社が先住民の所有する会社となった。その結果彼の会社は政府が推進する社会的に不利益を受けている人達に与えられるビジネスを受注する権利を得た。

2011年から先住民と名乗るには政府が承認した先住民団体に登録する必要があるようになった。彼(ウィリアム・ウェイジス)は Northern Cherokee Nation に登録したがこの団体はリーダーが詐欺を行っていると言われており政府から認証されてはいない。

ウィリアム・ウェイジズは8分の一アメリカ先住民だというが、出身地の書類を探してもどこにも彼の祖先が先住民だと書かれた書類はない。彼の出生証明書も白人としか書かれていないと疑問を呈しています。

公的補助悪用例2:DNA結果を悪用

こちらはDNAテストの結果黒人と先住民のDNAが出てきたので公式文書に黒人として登録し直し、公的補助を得ようとしている人についてのニュースです。

A DNA test said a man was 4% black. Now he wants to qualify as a minority business owner.

1963年生まれのラルフ・テイラーは自分が混血であるのは知っていたが白人として生きてきた。しかし2010年にDNAテストを受けた結果アメリカ先住民6%アフリカ系4%と言う結果がでた。(この会社は今では営業していなく、検査結果の正確性に疑問があると言われている。2010と言えば遺伝子ビジネスでは先駆的な年でまだデータが揃っていない年です。)

DNAのこの結果が出たことで彼は黒人、先住民、白人として出征証明書を登録をし直しました。彼は白人に見えることは認めています。しかし混血として50の州に登録しなおしは出来たのですが、連邦政府の登録しなおしは出来ませんでした。彼は政府の推進する少数民族へ割り当てられた仕事を受注したかったのです。彼は連邦政府から拒否されたことで彼は連邦政府を相手に訴訟を起こしました。

いろんな書類を集めては提出、外見が白人に見えるということで拒絶され、外見と遺伝子の中身の違いについての論争、少数民族ビジネス団体に登録しようとして拒絶されたり。。。この訴訟は2013年から今まで続いているのですが、今までに使ったお金が30万ドルだそうです。

コメント欄にはそのお金と情熱を別の所に使ったら良かったのにと書いている人がいます。

KKK団員の根拠

実は白人家庭にあるチェロキー伝説はいわゆるディープサウスの白人達の間にあります。白人至上主義者の団体 Ku Klux Klan(KKK団)が多い地域です。最初の記事を書いた女性の祖父もKKK団に属していました。

白人至上主義者とアメリカ先住民とは一見対局の位置にあるようですが、実は理由があるのです。彼らはアメリカ先住民の祖先をもつことが自分達が今いる土地にいる権利を受け継いでいるという根拠にしているのです。

White families tell their children about a connection to a mythic Native American past as a way to lay claim to territory and to a sense of belonging.

アメリカ先住民の居住地域地図

チェロキーの居住地域はアメリカの南東部です。チェロキーの子孫だと名乗っている人達が多く居住する地域です。

続く:

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