車住族22:アメリカ社会の断面

ボブ・ウェルスの人気動画

以前に紹介した車住族の教祖的存在 Bob Wells のユービューブチャンネルで多分一番見られている動画が月の800ドルの年金収入で暮らしている女性です。なぜ一番見られているかというといろいろなアメリカ社会の問題点が浮き彫りにされている動画だからだと思います。

Living in a Car on $800 a Month

動画に出てくる女性は64歳、4年前に離婚し自活しなければならなくなりました。しかし年金収入は月に800ドルだけ。生活費に困窮し一か月前から車住生活を始めたのです。しかも室内の広いバンではなくセダン型乗用車です。車住生活に踏み切ったきっかけはボブウェルスの動画。その他のネットの情報も集めてこれならやれると考えたからだそうです。離婚して約4年後です。

離婚・貧困

アメリカ人の半数は結婚した後離婚します。そして特に高齢者が離婚した場合悲惨な状態になります。結婚期間や在住している州の法律によって多少異なりますが、二人で持っていた家や収入が半分に分割されて生活が困難になるからです。ボブ・ウェルスが車住生活を始めた最初のきっかけが離婚でした。

夫婦両方とも働き続けてきたカップルなら良いのですが妻が子育てのため仕事を離れてしまった場合妻側が貧困生活に陥る可能性が非常に高くなります。年金の仕組みがそうなっているからです。夫婦でも仕事を続けて収入を得続けた方の年金収入が高くなるからです。

車住生活

彼女の車はセダン車ですから寝るために助手席を取り除き、ベッドにしています。この写真には小型ストーブを置いていますが、同じところに長期滞在する場合は車に近くにテントを張って生活空間を広げて料理等をしているようです。

コメント欄

彼女の他にも女性の一人旅で小さな車に乗っている人達のインタビュー動画はたくさんあります。しかしこの動画の再生数150万回と多いのには理由があります。彼女はインタビューの中で「子供たちを育てた時よくキャンプをしていた」と述べています。ということは少なくとも二人以上の子供がいるのです。そのためコメント欄が凄いことになっています。なんと7600以上のコメントがあります。

「自分のお母さんが車の中で寝ているのを知っていたら自分は絶対夜眠ることができない。たとえ本人が好きでやっていても。」

「高齢者ホームレスは白人と黒人ばかりだ。アジア人はいない」

「彼女の息子や娘はなぜ彼女を車の中で寝らせることができるのか理解できない」
—–返信「あなたは恵まれた人生を送っているのだろうね」
—–返信「多分彼女は生活保護を受けたくないのだろう」
—–返信「月額800ドルだったら補助は出ないんじゃない?」
—–返信「いくら子供がヘルプしたいと言っても拒否する親もいるけどね」

「彼女のような人がホームレスになっているのに違法移民は政府の援助をふんだんに受けている」

一年後の彼女のインタビュー

上記の再生数が160万を超えている動画は2017年のRTR(ボブ‥ウェルス主催のイベント)の時に撮影されたものでした。先週彼女の一年後のインタビューがアップロードされました。撮影されたのは2018年のRTRの時です。撮影されてから既に半年過ぎています。

UPDATE: Dee Living in a Car on $800 a Month INTERVIEW

UPDATE: Dee Living on $800 a month in a Cargo Trailer

動画に出ている彼女の外見は驚く程変わっていました。理由は昨年パーキンソン病になってほとんど死にそうな状態になったのだそうです。

しかし車住生活は向上しています。トレーラーを購入して調理用具や家具を揃え一年前に比べ非常に快適な生活をしていました。トレーラーの購入代金は4千ドル弱、4年間のローンを組み毎月の支払いは90数ドルだそうです。

頭も非常に明晰です。買ったトレーラーは外がわの箱だけでした。そのため保温設備、電気の配線、ソーラーパネルの設置、家具の設定等も全て自分でやっています。

ボブ・ウェルスへの感謝

彼女がトレーラーの選んだのはボブ・ウェルスの動画の情報から。そして購入方法、家具の設置、配線等全てボブ・ウェルスのホームページやユーチューブの動画を参考にしたのだそうです。

彼女はボブ・ウェルスに「あなたは自分では認識していないかも知らないが、私のような人にとっては本当に助けになっている。毎日感謝の気持ちで生きている」「情報が無いと不安で何をしていいのかわからないが、あなたの提供してくれるたくさんの情報が不安を消し去ってくれた」「あなたのことを中傷する人達もいるがそれよりももっと多くの人達があなたに感謝していると思う」と感傷的に涙ぐみながら話していました。

彼女への募金

ボブウェルスは彼女の二回目の動画をアップロードすると同時に彼女の苦境を救う募金のキャンペーンを始めました。目標金額は1万ドル。この基金は彼女がこれから行わなければならないパーキンソン病治療のための6回の目の手術と、車を買い替えるためです。彼女は毎月治療のために500マイル運転して病院にゆかなければならないのです。しかし現在の車はトレーラーを牽引するには力が弱すぎて運転中にオーバーヒートする可能性があるからです。この募金は開設5日目で目標金額に達しそうです。

アメリカ人の考え方

日本人だと彼女のような状態になった場合世間体を気にして隠れてしまいます。しかしアメリカ人は堂々としています。彼女の堂々としている理由の一つは同じような状態になった人たちが自分の見つけた苦境の解決補法をみて参考にして欲しい気持ちがあるからです。彼女は二回目のインタビューの時も今度の動画もたくさんの人達に見て欲しいと述べています。

最初の動画のコメント欄についてですが、あまりにも酷いことを書いている人がいたので反論したと述べています。しかし同時に人それぞれの意見を述べる権利があるとも言っています。

文化と考え方の違いが大きいですね。

終り

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