租税回避07:スターバックス

スターバックスが租税回避で槍玉にあがった最初のきっかけはこれです。2012年の10月15日にイギリスのロイターの記者がスターバックスの過去の税金の支払いを綿密に調べて発表したからです。

Special Report: How Starbucks avoids UK taxes
要約するとスターバックスは1998年にイギリスで営業を始めた。ビジネスは非常に順調で今ではイギリス中に735店舗を持ち今までの累計売り上げは3ビリオンポンド(4.8ビリオン米ドル)のにもなっている。しかし今まででイギリスに払った税金はわずか8.6ミリオンポンドだけ。その率は総売り上げの0.29%でしかない。そして驚いたことに過去三年間に払った税金はゼロである。

同じ過去三年間で同種の企業と比べてみると以下のようになる。マクドナルドは3.6ビリオンポンドの総売り上げで80ミリオンの税金を支払った。KFCは1.1ビリオンポンドの総売り上げで36ミリオンの税金を支払った。しかしスターバックスは1.2ビリオンの総売り上げがあったのに払った税金はゼロである。(この記事を見てマクドナルドとKFCは鼻が高かったでしょう。)

イギリスのライバルコーヒーチェーンのCOSTAは昨年一年間の総売り上げ377ミリオンポンドに対して15ミリオンの税金を払った。しかしスターバックスは昨年一年間で398ミリオンの総売り上げがあったのにもかかわらず支払った税金はゼロである。(この記事を見てイギリス国民は「COSTAって素敵これからも行くわ」と思ったでしょう。)

なぜこんなことができるのかと言えばスターバックスはオランダの関係会社へのロイヤリティの売上に対する6%支払い、スイスの豆買い付け業者への通常価格より高い支払い、関係会社へのローンの利息の支払い、などをしているからです。そのどれも会社の機能を分割して利益を税率の低い国へ迂回させているのです。

上記の経費とそれによって生じる損失はイギリスの税務署への報告上の数字です。ところが投資家への説明ではイギリスでビジネスは順調で非常に儲かっていると毎年説明をしてきました。そして2010年にはイギリスの社長をアメリカ本社へ栄転させたのです。当然イギリスでのビジネスを上手くやった結果で彼の手腕をアメリカでも生かして欲しいからです。

UK Uncut protest cuts to women services at 45 Starbucks around the UK
https://www.youtube.com/watch?v=4d-3Fu1hArY
このロイターの記事でイギリスの消費者は怒りました。ツイッターやフェイスブックで呼びかけイギリス中で抗議運動が起こり半年間続いたそうです。

Starbucks completes £20 million tax payment as coffee chain seeks to put scandal behind
結果スターバックスは20ミリオンポンドを英国政府へ支払うということにしました。しかし税金は寄付ではないと反発があります。スターバックスは今後は会計方法を根本的に変えて各国に税金を支払うことにするそうです。当然そうしないとお客様相手の会社ですから広報イメージが悪くなりすぎます。

Google, Amazon, Starbucks: The rise of ‘tax shaming’
面白いと思ったのはイギリスでもやはり税金のことについては今まで一般人はあまり興味がない話題でした。税金問題について以前はビジネス誌の目立たない記事だったのですがスターバックスの問題が起きて以来、一般庶民もとても気にかけて詳しくニュースを読むようになったそうです。

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