租税回避06:ユンカー氏

今週もまたルクセンブルグを舞台にした租税回避スキャンダルの続報が出ました。今度は Disney、Skype、Coch等です。会計事務所もPricewaterhouseCoopers だけでなくEY, Deloitte, KPMGなど4大会計事務所の全てが関与していることがわかりました。
20141209–Luxembourg tax files how Juncker’s duchy accommodated Skype and the Koch
やり方は前回紹介したPwCの時と同じように会計会社が紹介する一流企業とルクセンブルグの当局が三社会議を開きルクセンブルグ当局がルクセンブルグの籍を置くことで税金の特典を与えるというもの。それらの会社の大部分は会社の籍をルクセンブルグに置いているだけで本来の事業活動は何もしていません。やっているのはロイヤリティや貸付金利息などの名目で世界中の関連会社からお金を集めるだけです。これらのルクセンブルグにある会社はひとつのビルのひとつの部屋に何百社も住所を持っていますが、従業員などはほとんどいません。何百もの会社を管理会社がまとめて管理しているのです。(上記の記事の中の動画にルクセンブルグの事務所を記者が訪ねて行っている様子があります。)ロイヤリティ収入と利息収入で莫大な金がルクセンブルグの銀行に流入してくるのですが、三者で合意して協定によりルクセンブルグに払うのはわずか1%ぐらいの税金だけです。ロイヤリティや支払い利息を払う各国の会社はロイヤリティや利息等の経費を落とすことで利益を少なくし、結果低い税金を払うことになります。World’s best economies, Luxembourg: Best per capita income
これらの恩典を得ている国際企業は世界的な大企業が何百社もありますからわずか1%の税金でも人口50万の国民数で頭割りにするとルクセンブルグにとっては豊かな収入になります。実際ルクセンブルグの国民は赤ちゃんから老人まで含めた一人当たり平均1000万円以上の所得があります。他の国に払う税金を減らす手助けをして自分たちの国を豊かにすることをしていることに対して他国の怒りは収まりません。

ルクセンブルグの首相を18年間も務め今年11月に欧州連合の首相になったユンカー氏は再度厳しい立場に立たされています。というのは今回名前が出てきたスカイプ社がルクセンブルグに本部を移した当時の首相兼財務大臣で、その時にしたコメントがはっきり残っているからです。それはこれ↓。

“Skype will remain based here … this is partly because of the favourable fiscal
environment we’ve created here in Luxembourg.”
スカイプはルクセンブルグが創造した経済的に良い環境のためにこちらに支店を持っている。

20141210–Luxembourg tax files Juncker ‘solved problems’ for Amazon move
アマゾンの元財務担当者だった人がルクセンブルグでユンカー氏はまるでアマゾンのビジネスパートナーのように仕事をしていたと語っています。この人は今は引退していますが、シアトル地区でルクセンブルグの名誉総領事の肩書きを持っています。

ユンカー氏の立場はますます苦しい状態です。しかし政治家ですからあらゆる手段を使って今の地位に居座りそうな雰囲気です。政治家の本領発揮です。面白いので成り行きを見守りましょう。

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